農家と共創する酒造り
新しい日本酒を模索する中で、私は素晴らしい酒米を見つけた。
【吟のさと】だ!
しかし、どんなに良い米を見つけても、それを作ってくれる人がいなければ、酒を造ることはできない。
本当に美味い酒ができるか、確約できない頃の話だ。
それでも、私の想いを理解し、協力してくれたのは、出入りしてる運送業者の社長だった。
彼は本業の傍ら、米農家も兼業していたのだ。
「吟のさと」は味の良い「山田錦」と、壱岐の環境に適した「西海222号」の掛け合わせである。
島で飯米を作っていた彼は、「吟のさと」の栽培を快く引き受けてくれた。
当然、「作ってほしい」と一方的に言って、それで終わりではない。
たとえば、近年の高温障害。その対策として、相談しながら収穫時期の調整をする。
気温も、天気も、毎年変わる。同じ年は一つとしてない。
しかし、一緒にそれを乗り越え、美味い酒を造る。
年を経るごとに、農家と一緒に作り上げる“共創”の意識を強く持つようになっていく。
壱岐は離島ながら、長崎県で2番目に広い平野『深江田原(ふかえたばる)』がある。
壱岐の中心にあるその平野は、島中の米需要を満たしてくれるのだ。
そんな平野の一角に、「吟のさと」の田はある。
私は今年も、稲の植えられた水田を眺め、思う。
今年の酒米は、どんな仕上がりになるだろうか。
そして、どんな仕上がりになろうとも、良い酒を造ると、静かに決意する。
今年の共創も、楽しみに。
壱岐の水、米、風土、壱岐に住む人と共に創っていく。
それこそ、本当の『Made in 壱岐島』になるのかもしれない。
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